① 地球温暖化
地球温暖化は、人間活動による温室効果ガス排出の増加によって地球全体の平均気温が長期的に上昇する現象である。公害防止管理者試験では、温室効果ガスの種類、排出源、影響、国際的な枠組み、日本の法制度、技術的対策まで幅広く理解しておく必要がある。
1. 温室効果ガスの種類と特徴
- 二酸化炭素(CO₂)
- 発生源:火力発電、工業炉、輸送機関、家庭用燃焼機器、森林伐採。
- 特徴:排出量が最も多く、温暖化の主因。大気中濃度は産業革命前の約280ppmから現在は420ppm近くまで上昇。
- メタン(CH₄)
- 発生源:家畜の腸内発酵、稲作、廃棄物処理場、天然ガス漏洩。
- 特徴:CO₂の約25倍の温室効果。大気寿命は約12年。
- 一酸化二窒素(N₂O)
- 発生源:農業土壌(窒素肥料)、化学工業プロセス、燃焼。
- 特徴:CO₂の約300倍の温室効果。大気寿命は約120年。
- フロン類(HFC、PFC、SF₆など)
- 発生源:冷媒、半導体製造、絶縁ガス。
- 特徴:温室効果は数千倍〜数万倍。大気寿命も長く、削減が重要。
2. メカニズム
- 温室効果ガスは赤外線を吸収し、地表から放射される熱を閉じ込める。
- 自然の温室効果により地球は平均気温約15℃を保っているが、人為的排出の増加により過剰な温室効果が生じ、気温上昇を招く。
- IPCC報告書によれば、20世紀後半以降の気温上昇の大部分は人為的要因によるとされる。
3. 影響
- 気候変動:猛暑、豪雨、干ばつ、台風の強大化。
- 海面上昇:氷床・氷河の融解、海水の熱膨張。沿岸部の浸水リスク。
- 生態系への影響:生物分布の変化、絶滅リスク、生態系サービスの低下。
- 人間社会への影響:農業生産の変動、健康被害(熱中症、感染症拡大)、インフラ被害、経済損失。
4. 国際的な取り組み
- 国連気候変動枠組条約(UNFCCC, 1992年):温暖化防止の国際的枠組み。
- 京都議定書(1997年):先進国に温室効果ガス削減義務。日本は2008〜2012年に6%削減義務。
- パリ協定(2015年):全ての国が参加。産業革命前からの気温上昇を2℃未満、努力目標として1.5℃に抑える。
5. 日本の取り組み
- 地球温暖化対策推進法:排出量算定・報告・公表制度。
- 省エネ法:エネルギー使用合理化。
- 再生可能エネルギー導入:太陽光、風力、バイオマス。
- 排出量取引制度・カーボンプライシング:企業間で排出枠を取引。
② オゾン層破壊
オゾン層破壊は、成層圏に存在するオゾン層が人為的な化学物質によって破壊され、紫外線の透過量が増加する現象である。公害防止管理者試験では、原因物質、破壊メカニズム、影響、国際的な規制、日本の法制度を理解することが重要。
1. オゾン層の役割
- 成層圏(高度約10〜50km)に存在するオゾン層は、太陽からの有害な紫外線(UV-B)を吸収し、地上の生物を保護する。
- オゾン層が破壊されると、紫外線が直接地表に到達し、健康や生態系に深刻な影響を与える。
2. 原因物質
- フロン類(CFC、HCFC):冷媒、スプレー、洗浄剤。
- ハロン:消火剤。
- その他:四塩化炭素、メチルクロロホルム。
これらは対流圏では安定だが、成層圏に到達すると紫外線により分解され、塩素原子や臭素原子を放出する。
3. 破壊メカニズム
- 紫外線によりフロンが分解 → 塩素原子が遊離。
- 塩素原子がオゾン(O₃)と反応し、酸素分子(O₂)に分解。
- 塩素原子は触媒的に作用し、繰り返しオゾンを破壊。
- 特に南極上空で「オゾンホール」が形成される。極域成層圏雲(PSC)が触媒反応を促進する。
4. 影響
- 人体への影響:皮膚がん、白内障、免疫力低下。
- 生態系への影響:植物の成長阻害、海洋プランクトンの減少。
- 物質への影響:高分子材料の劣化、塗料や繊維の損傷。
5. 国際的な取り組み
- ウィーン条約(1985年):オゾン層保護の国際的枠組み。
- モントリオール議定書(1987年):フロン類などの生産・消費を規制。
- ロンドン改正(1990年):規制強化。
- コペンハーゲン改正(1992年):HCFCも規制対象に。
- キガリ改正(2016年):HFCも削減対象に追加。
- 成果:フロン類の使用は世界的に削減され、オゾン層は回復傾向。
6. 日本の取り組み
- オゾン層保護法:フロン類の製造・消費の規制。
- フロン排出抑制法:冷媒として使用されるフロンの回収・破壊を義務化。
- 代替物質の導入:HFCなど代替フロンの利用。ただし温室効果ガスとしての影響があるため、さらなる削減が課題。


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