水・土壌環境問題

① 公共用水域の状況

公共用水域とは、河川・湖沼・海域など一般の利用に供される水域を指し、水質汚濁防止法に基づき環境基準が設定されている。近年は総じて改善傾向にあるが、依然として特定項目で基準超過が見られる。

● 近年の環境基準値の達成状況

  • 健康項目(有害物質)
    • 代表例:カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、シアン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど
    • 近年の傾向:ほぼ全項目で基準達成率は極めて高い(ほぼ100%)
    • 例外:
      • 砒素(ひ素)だけは依然として超過地点数が最も多い
        • 地質由来(自然由来)による溶出が原因のケースが多い
        • 工場排水由来のケースは減少
  • 生活環境項目(BOD・COD・SS・DOなど)
    • 河川:BOD基準達成率は 90%以上
    • 湖沼:COD基準達成率は 70%前後(閉鎖性水域のため改善が遅い)
    • 海域:COD基準達成率は 80%前後

● BOD・CODの違い(試験頻出)

項目 正式名称 意味 主な用途 備考
BOD 生物化学的酸素要求量 微生物が有機物を分解する際に消費する酸素量 主に 河川 生物反応を利用するため、河川のような流動性の高い水域に適する
COD 化学的酸素要求量 有機物を化学的に酸化する際に必要な酸素量 湖沼・海域 閉鎖性水域での有機汚濁指標として有効

● 河川・湖沼・海域の達成率の特徴

  • 河川:BOD達成率が高い(90%以上) → 流れがあるため自浄作用が働きやすい
  • 湖沼:COD達成率が低め(70%前後) → 富栄養化しやすく、閉鎖性が高い
  • 海域:COD達成率は80%前後 → 内湾など閉鎖性の高い海域で悪化しやすい

② 地下水の状況

地下水は飲用利用が多いため、公共用水域以上に厳しい監視が行われている。

● 地下水の環境基準超過状況

  • 最も超過地点数が多いのは「ひ素」
    • 地質由来の自然溶出が主因
    • 一部地域では地下水の還元状態により溶出が促進
  • 他の有害物質(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど)は改善傾向
    • 工場排水規制・土壌汚染対策法の効果

● 井戸水の環境基準達成率

  • 全国的に 90%以上 と高い
  • 達成率が低い地域は、
    • 地質由来の砒素
    • 農薬成分(硝酸性窒素・亜硝酸性窒素) などが原因となるケースが多い

③ 水質汚濁の原因

水質汚濁は大きく「生活由来」と「生産活動由来」に分類される。

● 生活由来の汚濁

  • し尿・生活雑排水が最大の原因
    • 台所・風呂・洗濯などの排水
    • 有機物・窒素・りんを多く含む
  • 全窒素:全りんの比率は 10:1(試験頻出) → 富栄養化の原因
  • 下水道普及率の向上により改善傾向
    • しかし、湖沼など閉鎖性水域では依然として富栄養化が問題

● 生産活動由来の汚濁

  • 工業排水が大きな割合を占める
    • 特に化学工業、金属製造業、食品製造業が上位
  • 汚濁物質の例:
    • 有機物(BOD・COD)
    • 重金属(鉛・カドミウム・六価クロム)
    • 有機塩素系化合物(トリクロロエチレンなど)
  • 規制:
    • 水質汚濁防止法
    • 排水基準(全国一律基準+上乗せ基準)

④ 土壌の状況

土壌汚染は、地下水汚染や農作物汚染につながるため、土壌汚染対策法により管理されている。

● 主な有害物質(試験頻出)

  • 重金属類
    • カドミウム
    • 六価クロム
    • 砒素
    • 水銀
  • 揮発性有機化合物(VOC)
    • トリクロロエチレン
    • テトラクロロエチレン
    • ベンゼン
  • 農薬・PCBなど

● 汚染原因

  • 工場跡地(メッキ工場、化学工場)
  • 不適切な廃棄物埋立
  • 地質由来(砒素など)

● 地盤沈下の状況

  • 主因:地下水の過剰揚水
  • かつては東京湾岸・大阪平野で深刻だったが、
    • 工業用水法
    • 地下水揚水規制 により大幅に改善
  • 近年は局所的に再発例もある(地下水利用の増加による)

コメント