石灰スラリー吸収法/水酸化マグネシウムスラリー吸収法
この2つの工程、特徴などをしっかり覚えておく!
1. 脱硫技術の種類
脱硫技術は、排ガス中の二酸化硫黄(SO₂)を除去する技術であり、大きく「湿式」「半乾式」「乾式」の3種類に分類される。
湿式脱硫
湿式脱硫は、液体吸収剤を用いてSO₂を除去する方法であり、最も広く使用されている。代表的な手法には「石灰スラリー吸収法」や「水酸化マグネシウムスラリー吸収法」がある。副生物として石こう(CaSO₄・2H₂O)が得られることが多く、これを建材などに再利用できる。
半乾式脱硫
半乾式脱硫は、湿式と乾式の中間的な方法であり、吸収剤をスラリーまたは湿った粉末状で噴霧し、SO₂と反応させる。反応後に水分が蒸発し、生成物が乾燥した固体として回収される。代表的な手法に「スプレードライ法」や「循環流動層法」がある。
乾式脱硫
乾式脱硫は、固体吸収剤を用いてSO₂を除去する方法であり、水を使用しない。活性炭や酸化鉄、アルカリ金属化合物を用いた方法がある。設備がコンパクトであり、水処理が不要なため、特定の用途に適している。
2. 湿式の例1:石灰スラリー吸収法
方法の概要
石灰スラリー吸収法は、石灰(Ca(OH)₂)または炭酸カルシウム(CaCO₃)のスラリーを吸収液として使用し、SO₂を除去する湿式脱硫技術である。この方法では、以下の反応が起こる。
吸収反応
SO₂がスラリーと接触し、以下の反応が進行する。
SO₂ + H₂O → H₂SO₃(亜硫酸) H₂SO₃ + CaCO₃ → CaSO₃ + CO₂ + H₂O
酸化反応
亜硫酸カルシウム(CaSO₃)は空気中の酸素によって酸化され、石こう(CaSO₄・2H₂O)となる。
CaSO₃ + 1/2 O₂ + 2H₂O → CaSO₄・2H₂O
この石こうは建材などに利用できる。
スート分離方式とスート混合方式
- スート分離方式:スート(煤じん)を脱硫装置の前に除去する方式で、スートによる吸収液の汚染を防ぐことができる。
- スート混合方式:スートを含んだまま脱硫装置に導入する方式で、装置が簡素化されるが、吸収液の管理が重要となる。
別置き酸化塔方式と吸収塔酸化方式
- 別置き酸化塔方式:吸収塔でSO₂を吸収した後、別の酸化塔で酸化反応を行う方式。効率的に石こうを生成できる。
- 吸収塔酸化方式:吸収塔内でSO₂吸収と酸化を同時に行う方式。設備がコンパクトになるが、酸化効率の管理が必要。
スケーリングの発生と防止策
スケーリングとは、脱硫装置内部に析出物が付着する現象であり、装置の性能低下を引き起こす。防止策として以下の方法がある。
- pH制御:適切なpH範囲を維持することで、CaSO₃の過飽和を防ぐ。
- スラリー濃度管理:適切なスラリー濃度を維持し、析出物の生成を抑制する。
- 添加剤の利用:スケール抑制剤を加えることで、析出の防止が可能。
3. 湿式の例2:水酸化マグネシウムスラリー吸収法
方法の概要
水酸化マグネシウム(Mg(OH)₂)スラリーを用いた湿式脱硫法は、SO₂を高効率で除去でき、副生物としてマグネシウム系化合物が生成する。以下のプロセスを経て脱硫が行われる。
吸収工程
SO₂と水酸化マグネシウムが反応し、以下の吸収反応が起こる。
SO₂ + H₂O → H₂SO₃ H₂SO₃ + Mg(OH)₂ → MgSO₃ + 2H₂O
酸化工程
吸収された亜硫酸マグネシウム(MgSO₃)は空気中の酸素によって酸化され、硫酸マグネシウム(MgSO₄)となる。
MgSO₃ + 1/2 O₂ → MgSO₄
結晶化・分離工程
酸化後のMgSO₄を結晶化させ、固体として分離する。MgSO₄は再利用が可能であり、農業用肥料や工業材料として使用される。
排水処理工程
余剰のMgSO₄を含む排水は中和処理を施し、環境基準を満たした後に排出する。
水酸化マグネシウム法の特徴
- 高いSO₂除去効率:Mg(OH)₂はアルカリ性が強く、SO₂の吸収が速やかに進む。
- 副生物の有効利用:生成したMgSO₄は、肥料や化学原料として再利用可能。
- 装置のスケーリングが少ない:Ca(OH)₂を用いる石灰スラリー法と比べて、Mg(OH)₂はスケーリングが発生しにくい。


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