① 酸性雨(発生メカニズム、乾性沈着と湿性沈着)
酸性雨は、大気中に排出された硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が水分と反応して硫酸(H₂SO₄)や硝酸(HNO₃)となり、雨や霧、雪に溶け込んで地表に降下する現象である。pH5.6未満の降水が酸性雨とされ、森林の枯死、湖沼の酸性化、建造物の腐食など多方面に影響を及ぼす。
発生メカニズムとしては、SO₂がヒドロキシラジカル(OH・)と反応して硫酸に、NO₂がOH・と反応して硝酸になる。OH・は大気中で最も反応性の高い酸化剤で、昼間の光化学反応で生成される。
沈着には乾性沈着(ガスや粒子が直接地表に付着)と湿性沈着(雨や雪に溶けて降下)があり、都市部では乾性、山岳地帯では湿性が顕著である。日本では環境省が酸性雨モニタリングを実施し、国際的にはCLRTAP(長距離越境大気汚染条約)などが対応している。
② 光化学オキシダント(NOXとVOCからの生成、光化学スモッグ)
光化学オキシダント(Ox)は、NOxとVOC(揮発性有機化合物)が太陽光の紫外線を受けて光化学反応を起こし、オゾン(O₃)などの酸化性物質が生成される現象である。都市部や工業地帯で高濃度となり、目や喉の痛み、呼吸困難などの健康被害を引き起こす。
反応の流れは、NO₂が紫外線で分解されてO原子を放出し、O₂と結合してオゾンを生成。VOCはOH・と反応してラジカルを生じ、NOと反応してNO₂を再生成し、オゾン濃度をさらに高める。
光化学スモッグは高温・日照・弱風・海風などの条件で発生しやすく、注意報は日照量13MJ/m²以上、気温25℃以上などで発令される。VOC排出抑制やNOx規制が進められており、自排局による常時監視も行われている。
③ オゾン層の破壊(フロン、HFC、1,1,1-トリクロロエタン)
成層圏のオゾン層は、太陽からの有害な紫外線(UV-B)を吸収し、地球上の生命を保護する役割を果たす。オゾン層の破壊は、皮膚がん、白内障、植物の成長阻害などを引き起こす。
フロン類(CFC、HCFC)は冷媒や洗浄剤として使用されてきたが、成層圏で紫外線により分解され、塩素原子を放出してオゾンを連鎖的に破壊する。これに対し、HFC(ハイドロフルオロカーボン)はオゾン層破壊効果がない代替物質として普及しているが、温室効果が高く地球温暖化への影響が懸念されている。
1,1,1-トリクロロエタンは金属洗浄などに使用されていたが、ODP(オゾン層破壊係数)が高く、1996年以降日本では製造禁止となった。国際的にはモントリオール議定書によりCFCの削減が進み、近年はキガリ改正によりHFCも削減対象となっている。
④ 地球温暖化(温室効果ガスの定義と種類)
温室効果ガス(GHG)は、大気中で赤外線を吸収・放射し、地表の熱を保持する性質を持つ気体である。これにより地球の平均気温が維持されるが、過剰な濃度は温暖化を引き起こす。
主な温室効果ガスには以下がある:
| ガス名 | GWP(地球温暖化係数) | 主な発生源 |
|---|---|---|
| CO₂(二酸化炭素) | 1 | 化石燃料の燃焼、セメント製造など |
| CH₄(メタン) | 25 | 家畜の腸内発酵、水田、埋立地など |
| N₂O(一酸化二窒素) | 298 | 肥料使用、工業プロセス |
| HFC類 | 1,000〜12,000以上 | 冷媒、発泡剤(代替フロン) |
| PFC類 | 6,500〜9,000以上 | 半導体製造など |
| SF₆ | 23,500 | 高電圧機器の絶縁体 |
地球温暖化の影響としては、気温上昇、海面上昇、異常気象の頻発、生態系の変化、農業生産への影響などが挙げられる。国際的には京都議定書(1997年)、パリ協定(2015年)などの枠組みがあり、日本も2030年までに2013年比で46%削減を目標としている。


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